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寺久保エレナインタビュー ~『NEW YORK ATTITUDE』:インタビュー / INTERVIEW

昨年、デビュー作『NORTH BIRD』でデビューを果たし、衝撃を与えたサックス奏者、寺久保エレナ。
渡辺貞夫、日野皓正、山下洋輔、ロン・カーター、オマー・ハキムなどなど、
数々のビッグミュージシャンとの共演を経て、待望のセカンドアルバム『NEW YORK ATTITUDE』を発表しました!

19歳の女性へのインタビューは初めてでしたが、自分に厳しく、しっかりとした考えの持ち主でした。

ニューヨークで行われたレコーディングについてなどのインタビューをお届けします。



寺久保エレナ


寺久保エレナ インタビュー

■前作に続き、ニューヨークでのレコーディングですね。ニューヨークは好きですか?

大好きですね。あらゆるものの中心だという気がするので、いるだけでテンションが上がります。


■ライブも見に行ったりしたんですか?

時間がなくていけなかったんですが、、、震災を受けてのジャパン・ベネフィット・コンサートは見に行きました。


■どうでした?

いやー、すごかったです。ほんとに。いろんなスターが集まっていて、今回のレコーディングメンバーのロン・カーターやケニー・バロンはもちろんのこと、ミッシェル・カミロとか、みんなが知っている人が50人くらい同じステージに立っていて。おかしくなるくらい興奮しました。


■そのロン・カーターやケニー・バロンとレコーディングするきっかけとなったのは、やはり東京ジャズ2010での共演ですか?

そうですね。その時にロンさんから「またいつでもやってあげるよ」みたいなことを言ってもらえて。「じゃあ、レコーディングお願いします」って言ったら「はい」って(笑)決まったんです。


■東京ジャズでの演奏はいかがでした?

すごい感動しましたね。あれがジャズなんだなという感じでした。


■具体的には?

口では説明できなくて、聴いたらわかると思うんですけど、あの人が弾けば全部がジャズなんだと思わせる演奏とエネルギー。あと、私なんかのバックでやっているのに全力でやってくれたというのがスゴイことですよね。


■日本でも渡辺貞夫さんや日野皓正さん、山下洋輔さんなど、大御所と呼ばれている方々と共演されていますが、緊張はしないのですか?

お会いするまでは緊張します。でも演奏を一曲やったら全然緊張しないで、友達みたいに接することができますね。


■音でつながるという感じですか?

そうですね。お会いするまでは本当に緊張しますけど。(笑)


■レコーディング中のコミュニケーションはどうでしたか?

ジョークばっかり言われてずっと笑っていました。(笑)去年よりも私が英語を少し良く聞き取れるようになったこともあるかもしれないですけど。本当にアットホームで楽しいレコーディングでしたね。ずーーっと楽しい話をしていました。演奏中もロンがヘンな顔とかして。(笑)


■作業はスムースに進んだんですか?

いえ。私のオリジナル(アルバム8曲目「Fascination」)だけは手こずりましたね。
ベースとピアノのパートが難しいのを書いちゃったので。。。「え~、こんなんできないよ」(笑)って感じだったんですけど、「でも、私はこれをやって欲しいんだ」って伝えたら、練習を何回もしてきてくれて、、、


■笑

きっちりとやってくれましたね、最終的には。


■音楽的なところでもコミュニケーションがあって、さらにリーダーシップもとっているんですね。

そうですね。リーダーシップを取らなきゃ自分のアルバムにもならないんで、いくらケニー・バロンやロン・カーターがいても、もう一回やりたいとか、ダメなものはダメと言いますし、それでやっとむこうも本気になってくれますね。


■そういったところは前作のレコーディングの経験からですか?

前作でも、思ったことは全部伝えていたので全然悔いはないんです。
デビューする前に録音したアルバムがあるんですけど、その時に私は、すごい後悔をしたんですね。一番最初のアルバムで、レコーディングというものがどういうものか全く知らなくて、適当に行って適当に吹いたのがアルバムになって一生残っちゃったというのを一回経験しているんで、それをもう二度とやりたくないと思っているんです。
だから、もう一回やりなおして欲しいと思ったら、いくら嫌な顔をされても、絶対やり直してくださいとお願いするようになりました。(笑)


■収録曲の選曲はどのように進めたのですか?

これは全部自分で選んだんですけど、メンバーもメンバーなので、全部オリジナル曲ということではなくてスタンダードを中心にやりたいなと思いました。


■アルバムタイトルにもなっている「ニューヨーク・アティチュード」は?

ピアノのケニー・バロンの曲なんですけど、その演奏を聴いてかっこいいなと思っていて、一緒にやれるチャンスがあればこの曲をやろうと思っていました。だって、本人とやれることなんて滅多にないですもんね。


■アルバムにはのびのびと演奏している感じが出ていますね。

そうですね。やっぱりリラックスしないといいレコーディングができないと思っていたんですけど、みんながうまくそういう雰囲気を作ってくれました。ピリピリした空気はなかったです。


■アルバムレコーディング前にフランスとアフリカに行かれたそうですが、いかがでした?

いやもう、フランスは普通に良かったんですけど、アフリカはすっごいインパクトがありますね。


■アフリカ、行ったことがないんですよ。

絶対行ったほうがいいですよ。いろんな苦労はしますけど。(笑)考え方が全く変わっちゃいますね。食料とか電気とか生活の違いから自分の暮らしを考え直したり。現地の音楽、民族音楽を聴いたんですけど、生きている喜びだとか音楽をやる楽しさが伝わってきました。そういうのを、今回のアルバムに込めることができたらなと思っていました。


■このアルバムに影響を与える体験でしたね。

本当にそうですね。レコーディングの直前でしたし。


■演奏はしたんですよね?

はい。すごい喜んでもらえました。


■楽器は持っていったんですか?

持って行ってひどい感じになりましたけど。(笑)毎日気温が40度なんでね、そりゃあ当然ひどい状態になるんですけど、でも、持って行って演奏した甲斐はありました。


■アルバムが発売されてツアーをした後に、バークリーに留学されるんですよね?

はい。たぶん2、3年は行っていると思います。


■何を期待していますか?

アメリカで生活をしてみたいんですよね。むこうの同世代と音楽をやって、というような生活がしたいです。英語もうまくなりたいですし。


■同世代という言葉が出ましたが、エレナさんの世代がトライできる新しいジャズというものがあるとしたら、どういったものだと思いますか?

無理して新しいものをやろうやろうとしても、適当でしかなくなっちゃうと思うので、歴史をさかのぼって原点を確認して、その原点もちゃんとできるしバップもできるし、マイルスの後期とかも聴いているしとかいう人が新しいことをやって行くのであって、私が新しい音楽をこれからやるというのは、まだ早いと思います。だから、もっと全部できるようになってからそういう事は考えたいです。


■よくわかりました。留学までびっしりとツアースケジュールが入っていますが大丈夫ですか?(笑)

ぜんぜん大丈夫じゃないです。(笑)ほんとに大変です。(笑)でも、ツアーは楽しみです。アフリカとフランスで一緒に演奏したすごいメンバーなんですよ。いっぱいあるけど、全部最高の演奏ができるように頑張ります。


■最後になりますが、目標や夢は?

目標というのは特にないんですけど、やっぱりうまくなりたいですよね。無限に。なんか目標を立ててしまうとそこで終わっちゃうような気がして。だから目標はつくらずに、無限にうまくなっていきたいです。あとは、オーケストラのアレンジとかもしてみたいです。何でもできるようになりたいです。

[Interview:樋口亨]


NY Attitude


■タイトル:『NEW YORK ATTITUDE』
■アーティスト:寺久保エレナ
■発売日:2011年6月22日
■レーベル:キングレコード(Blue in Green)
■カタログ番号:KICJ−615
■価格:3,000円(税込)




寺久保エレナ プロフィール】
1992年札幌生まれ。2002年〜2007年(10才〜15才)札幌ジュニア・ジャズ・オーケストラに参加。
2005年(13才)最年少でボストン・バークリー・アワードを受賞。2007年、2008年ボストン・バークリー音楽院に奨学生としてサマープログラムに短期留学。2009年バークリー・サマー・ジャズ・ワークショップに日本人として初めて選抜される。
2010年3月高校在学中にニューヨークにてKenny Barron(p)、Christian Mcbride(b)といったジャズの巨匠たちを従えて1stアルバム『NORTH BIRD』をレコーディングし、6月キングレコードからメジャーデビュー。ジャズ専門誌Swing Journalのゴールドディスクにも選定される。
同年8月【札幌シティジャズ2010】ではオープニングライブを務め、9月には【東京ジャズ2010】に出演。Ron Carter(b)、Omar Hakim(ds)らと共演したステージは多くのジャズファンに衝撃を与えた。
10月【LAWSON JAZZ WEEK 大阪】(共演:Michel Camilo(p))出演。
11月【NAGOYA AKARI JAZZ】(共演:山下洋輔(p))出演。
12月【HTB朝日ジルベスターコンサート】(共演:札幌交響楽団)出演。
2011年3月札幌市内の高校を卒業。国際交流基金の主催によるフランス、ブルキナファソ(西アフリカ)での海外公演を行う。
4月NYにてジャズベースの巨匠Ron Carter(b)と2ndアルバムをレコーディング。秋からのボストン・バークリー音楽院留学を控え、2011年夏には全国ツアーが予定されている。


【ライブスケジュール】
【寺久保エレナ・カルテット・ライブツアー2011】
musicians
sax:寺久保エレナ
piano:大林武司
bass:井上陽介/中村健吾/坂崎拓也 *日程により異なります。
drums:マーク・ホイットフィールド・Jr

7/7(木)東京/調布グリーンホール
7/11(月)新宿 Pit Inn
7/12(火)山梨/甲府:Cotton Club
7/17(日)新潟/上越:多田金G&MCP
7/18(月)長野:Back Drop
7/20(水)広島:Speak Low
7/21(木)岡山:Cafe SOHO
7/22(金)名古屋:Blue Note
7/23(土)福岡/中間:なかまハーモニーホール
7/24(日)山口/岩国:周東パストラルホール
7/27(水)山形/新庄:Lexington Shinjo
7/28(木)福島:Mingus
8/1(月)、2(火)大阪:Mister Kelly's (2days)
8/4(木)北海道:大空町教育文化会館
8/5(金)北海道:函館市民会館
8/6(土)北海道:豊浦町地域交流センター とわにー
8/7(日)北海道:幕別町百年記念ホール


【Special Concert】
6/26(日)西東京市保谷こもれびホール
『Jazz Live 2011 produced by 笹路正徳』共演:笹路正徳、三好"3吉"巧郎、納浩一、本田珠也
6/29(水)苫小牧市民会館
『Fride Prideと仲間たち「THE PARTY」』共演:Fride Pride、日野晧正、coba


【Jazz Festival出演】
7/15(金)札幌シティジャズ2011
7/16(土)13thビッグバンドジャズフェスティバル with エリック・ミヤシロ EM BAND
7/30(土)22th南郷サマージャズフェスティバル
7/31(日)23thモントレージャズフェスティバルin能登


【東日本大震災復興支援コンサート"子どもたちが元気な未来へ"Bravo! Piano】
出演:寺久保エレナ、佐山雅弘、川嶋あい、木下航志、中園理沙

6/24(金)札幌コンサートホールKitara大ホール
6/28(火)中京大学文化市民会館 プルニエホール
6/30(木)大阪 新歌舞伎座
7/1(金)福岡国際会議場メインホール
7/8(金)東京国際フォーラム ホールC

*詳細は寺久保エレナOfficial Web Site をご覧下さい。

問合せ先:株式会社オフィスエム・ツー TEL03-5468-0662

万波麻希インタビュー ~『Jacob Koller and Maki Mannami / Pilot』:インタビュー / INTERVIEW

お馴染み須永辰緒氏プロデュースのものを含む2枚のソロアルバムをこれまでにリリースしている女性アーティスト、万波麻希。
現在「ジャズ」という音楽の定義やイメージが拡張しているとはいえ、そこに収まらずに、その活動や音楽を通じて、貪欲に自由に自分というものを追い求めています。
4月に発表された約3年ぶりとなる作品は、意外にも、アメリカ人ピアニストとのコラボレーションです。
2人の出会いやアルバムが出来上がるまでのストーリーが非常に面白いのでこちらもチェックしてみてください。
これまでの作品と比べて、スムースで優しく、ジャズ的に聞こえると同時に、随所に持ち前のエッジも散りばめられています。
シンガーソングライターの作品のような静けさ、クラブミュージックなどがもつエッジ、どちらかを求めている人や両方を求めている人、どちらにもおすすめです!



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万波麻希インタビュー

■ ジャズスタンダードの他に、ジョニ・ミッチェルやビョーク、レオナード・コーエンなどシンガーソングライターの楽曲もたくさん取り上げています。選曲はどのようにして進めましたか?

もともと、カバーに興味ないんです。オリジナルがあるのに、なんで人の曲をやるのかな、と。カバーを入れないと売れない、っていう風潮が蔓延してますが、入れても売れない、ってなんでみんな気づかないのかな、とか(笑)。でもカバーやらないとレコード会社が出してもくれない。ということでぶっちゃけイヤイヤやったんですが(笑)、どうせやるなら自分の本当に思い入れのある曲をやろうと思いまして。ジェイコブと、カバー入れないといけないけど何やる? って話してて、彼も、今さらありきたりなジャズスタンダードとかやりたくないよね、って言ってたんです。それで、ポップスとかロックにも目を向けてみて。ジョニ・ミッチェル、ビョーク、レオナード・コーエンの曲は、私が歌詞を心から愛しているから。「Send in the Clown」も歌詞が好きなんですが、これは私が尊敬するスティーヴン・ソンドハイムというミュージカルのソングライターの曲で、高校生の頃から歌っていたのでことさら思い入れが深い。「Naima」はジェイコブと私の個性を活かせる曲だと思っていて、二人でライブで何度も演奏してきたから。付け焼刃にならないよう、念入りに曲を選んだので、結果的にはやってよかったと思います。前作でカバーやった時はアレンジで勝負したい気持ちが強かったけど、今回は曲によってはジェイコブにアレンジを任せたので、歌に集中できたし、人の曲を歌うということでまた得たことも大きかったです。


■ これまでの作品と比べて、よりジャズとポップの要素が強くなった内容だと思います。その理由は?

昔から曲を作る際に「美しいメロディー」という要素は不可欠でしたが、それを敢えてコラージュの一環として扱うようにしていました。あくまでオリジナルの世界観を作ることに要点を置いていたから。最近はストレートな曲がより胸に響くようになったんですが、歳とったんですかね(笑)。20代の頃の自分は精神的にも混沌としていて、それがよく音に表れていたと思う。ポップな要素が強くなったのは、そういう部分をある意味乗り越えたというか、より表現が素直になってきたんだと思います。コアな音作りをしていた頃から、いつかアルバムの最後に一曲、とかでもいいからオーソドックスなフォークソングをピアノと歌だけでやりたいと思って、実は前回のアルバムでも用意してたけど、ボツになった(笑)。だから今回のアルバムは私の中のポップ願望がより前面に出た、という感じでしょうか。ただこれからもポップ路線でいくとかでは決してないです。今回それをある程度出し切ったから、次はまたディープな音作りにも戻りたい。
ジャズに関しては、これも私にとってはコラージュの一環でしかなくて、ジャズアーティストと呼ばれることに最初から違和感を感じてたし、1枚目も2枚目も、私はジャズのアルバムを作ったつもりは全くなかった。将来的にジャズに向き合ったアルバムを一枚作りたいとは思ってて、ジェイコブが日本に活動の拠点を移したことを機に、今作で挑戦することにしました。彼となら私の中にあるヴィジョンを実現できると思ったから。これは決してストレート・ジャズではないけど、私の中ではこれ以上ジャズ寄りになることはないです。これが私にとって、私なりの、最初で最後のジャズアルバムかもしれない。


■ アルバムタイトルについて教えてください。

海外のテレビドラマで、試験的な意味で放映する一話目のことを『パイロット』っていうんですが、私とジェイコブのコラボはまだ始まったばかりで、これから続編をどんどん作りますっていう意味でつけました。


■ 前作から今作発表までの間に、拠点をベルリンやニューヨークへと移していたそうですが、その理由や現地での様子を教えてください。また、その経験が今作に影響を与えていますか?もしそうであれば、どういった形で影響を与えているか教えてください。

話すと長くてここには書ききれませんが、私は大阪で生まれ育ったんですが、大阪は非営利な活動に没頭するコアなアーティストが集う街なんです。東京での音楽活動は勉強になったし感謝もしてるけど、ビジネスライクな音楽シーンに戸惑ったり否定的になることも多かった。いったんゼロに戻さないと私の中でこれ以上何も生まれないと思ったのと、新しい刺激が欲しかったので、3年ほど前に放浪を始めました。ベルリンでは最新のエレクトロ系の音に刺激を受けたり、Jazzanovaに参加してるSebastian Studnitzkyっていうトランペッターとコラボしたり、イベントオーガナイズしたり、DJやったりもした。その間にロンドンに行って、ロイヤルオペラハウスでのライブに出演しました。それからスペインのアンダルシアに飛んでフラメンコに没頭して、ニューヨークではサマーフェスティバルを観まくって、David Lastっていうブルックリンのアーティストとスタジオをシェアして、彼のアルバムに参加したり、日本人の山本祐介さんというビブラフォン奏者に自分の作品の録音を手伝ってもらったり。その後はオーストラリアに飛んで、脱力して帰ってきました。各国それぞれ出会いがあり素晴らしい体験をしたけど、10数年ぶりに訪れたニューヨークは本当にすごかった。東京では洒落たヨーロピアンジャズが流行っているけど、ニューヨークにはジャンルも壁もなくあらゆるジャズが混在していて、ミュージシャンのレベルも当然ながら凄い。ニューヨークの旅が、リベラルなジャズに向き合うという意味で、今回のアルバムの音作りに一番強烈なインスピレーションを与えていると思う。本当に有意義な数年間でした。


■ 今回の相棒、ジェイコブ・コーラーとの制作過程で、印象的なエピソードがあったら教えてください。

彼のあまりの天才っぷりに、オリジナルソングではミュージシャンたちがかなり苦戦してました。曲自体は聴くとスムーズなんですが、楽譜の複雑さとか半端なくて、熟練したミュージシャンたちが初めて楽譜を見る子供みたいにヨチヨチになってた(笑)。ジェイコブの作ったメロディーラインもすごい飛びっぷりで、私はパスコワールの奥さんになった気分でした。しかし彼はとにかく、制作から演奏にいたるまで本当にスキがない。彼と共同作業をしているとき、私は自分が本物の天才と一緒に曲制作をしているんだなあと実感できて、いつも刺激に満ち溢れていたし、本当に気持ちがよかった。それなのに本人は飄々としていて、いい意味で威厳がない(笑)。だからこそ心地よく共同作業ができたんだと思います。お互いが何かアイディアを出すと、そこから次々と別のアイディアが浮かび、驚くほど順調に作業が進みました。これもひとえに素晴らしい相棒のおかげです。


■ 今後の活動や取り組んでみたいことについて教えてください。

今までみたいに何でもかんでもがむしゃらにやるんじゃなくて、これからは本当にやりたい音楽だけをマイペースにやっていきたい。ミュージシャンにとって本当に大変な時代だけど、CDが売れない時だからなおさら、売れ線を狙ってジタバタするのは本当に危険な行為だと思う。前はダウンロードとか完全否定してたけど、これからは古いやり方に固執してたら何も前に進まない時代なんだなと感じています。一時は自主レーベルがどんどん増えていったけど、それが更に細分化されてきて、ミュージシャンの自立が促される時代なんだろうなと思います。
あと音楽とは直接関係ないけど、前々から環境のことには興味があって、自然保護とかエコっていうのを自分なりに個人単位で実践してきたつもりなんですが、そういったことを何か形にできないかなと思っています。今はまだ漠然としていて、個人としてなのか、ミュージシャンとしてなのか、それとも何か団体でやっていくことになるのか分からないけど、自分が勉強してきたことを将来何らかの活動にしていきたい。そういう気持ちが、やっぱり今回の震災や原発の事故ですごく強くなりました。日本は今本当に大変な時ですが、一人一人の意識を変える大きなチャンスだとも思うから。それは音楽界にも言えると思います。氷河期だからこそ、新しい時代に向けて準備していく時なんだと思います。

[Interview:樋口亨]


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■タイトル:『Pilot』
■アーティスト:万波麻希 / Jacob Koller
■発売日:2011年4月6日
■レーベル:P-Vine
■カタログ番号:PCD-4493
■価格:2,000円(税込)




万波麻希 プロフィール】

幼少よりピアノ・声楽・ドラム・舞踊・作詩・作曲に親しむ。大阪芸術大学舞台芸術学科を中退後、ミュージカルの舞台を志し19歳の時に単身でNYへ渡る。現地ではオフ・ブロードウェイの舞台でコーラスダンサーとして出演し、黒人教会ではゴスペルを歌い、キャバレーでジャズシンガーとして出演するなどの経験を経て帰国。
2003年にロンドンのレーベルよりリリースした12インチシングル『Justice and Judgement 正義と審判』が、「次世代のアリス・コルトレーン」「デヴィッド・リンチに捧げるダンスミュージック」と評され、ヨーロッパでのライブツアーを行う。
2006年にP-Vine Recordsより全曲セルフ・プロデュースしたファーストアルバム『Journey of Higher Self Liberation/自己解放の旅』をリリース。「初作にして大物の貫禄を漂わせる稀代の名作」と各メディアより絶賛される。須永辰緒の『夜ジャズ』、Afternoon Teaのレーベルのコンピレーション、ドイツのレーベルのコンピレーションなどに楽曲が収録される。
2008年には須永辰緒プロデュースによるセカンドアルバム『The World of Sense』をリリース。須永辰緒主宰のアナログ・レーベル『Disc Minor』よりEPリリース、Nicola Conteのプロデュース・ワーク集やドイツからのコンピレーションに楽曲が収録され、Giles Petersonの番組でもヘビープレイされる。
2008年末よりベルリンに移住。イベントオーガナイズや、JazzanovaのサポートメンバーであるSebastian Studnitzkyとのコラボレーションなど、精力的に活動。2009年には英国ロイヤルオペラハウスでのライブを成功させる。2010年にはNYへ渡り、ブルックリン在住のアーティストDavid Lastのアルバムにゲスト参加している。
シンガーとしては、菊地成孔クインテット・ライブ・ダブのゲストボーカルや、南博とのデュオ、映画『パビリオン山椒魚』(主演:オダギリジョー/音楽:菊地成孔)の主題歌、映画『アンテナ』(原作:田口ランディ/音楽:赤犬/ベネチア映画祭正式出品作品)のサウンドトラック、Calmのライブでのコーラスシンガー、ファッションブランドTheater Productsの東京コレクションのショーに出演。他にも、eater、DJ MoochyのプロジェクトNXS、Codhead、コンピレーションアルバム『Banana Connection』(Shibaの楽曲)への参加など。
作曲家、プログラマー、アレンジャーとしても、須永辰緒のアルバムやミックスCDに楽曲を提供、BAYAKAのリミックスに参加し、 AmcrewのCM、ファッション・ブランドFRED PERRYのモバイル用CM、ヤマダタツヤとの共作でPlay Station3の「グランツーリスモ5」、BMWのショウルーム、Google、Itokiなど様々な企業にも楽曲を提供するなど。


Jacob Koller プロフィール】

1980年米国アリゾナ州・フェニックス生まれ。
4歳よりピアノを始め、5歳ですでにリサイタルをこなす。
高校に入るまでにはアリゾナ・ヤマハ・ピアノコンクールを含む10以上のクラシックピアノコンクールで優勝。
14歳の時に"作曲"と"即興"への情熱を見いだし、高校のジャズバンドに入部。そこでまたたく間にジャズの才能を開花させ、まもなくフェニックスの至る所でDennis RolandやJesse McGuireなどアリゾナ屈指のジャズミュージシャン達と共演。
全額給与のジャズ奨学金を受け、アリゾナ州立大学へ入学。そこではクラシックピアノをReyna Aschaffenberg、ジャズピアノをChuck Mahronicより習う。
また、Kenny Werner、Fred Hersch、Phil Strange、Uri Caine、Angie Sanchezからはプライベートレッスンを受ける。
マンハッタン即興音楽学校、Henry Mancini研究所、カナダ・バンフ夏季ジャズワークショップへの参加もすべて奨学金を受け参加。
2000年、"Julius Hemphill ジャズ作曲コンクール"で絶賛され、2007年には、アメリカ全土からたった5人のみ選ばれる"Cole Porter Jazz Piano Fellowship"ファイナリストのうちの1人に選ばれる。
Tony Malaby、Terence Blanchard、Mard Dresser、Brian Allen、Kohji Fujika、Coppe、DJ Kensei、Martin Denny、Ricky Woodard、Abe Lagrimas等のアーティストと世界各地でツアー、レコーディング経験がある。
2009年5月に日本へ移住後、ピアノ演奏中にレコード会社の社長にスカウトされ、ソロピアノCDをリリースする。

大島輝之インタビュー ~『The Sounds Fur Klastar Point』:インタビュー / INTERVIEW

大谷能生、植村昌弘とのユニットsim(シム)や、gnom゜(ノーム)など複数の名義で多彩に活動する大島輝之が
4月6日に5年ぶりとなるソロアルバム『The Sounds Fur Klastar Point』をリリースします。

生楽器の演奏による録音素材を細分化して、さまざまな音楽スタイル、響き、サウンドスケープを表現した作品となっています。

ゲストに、相対性理論のやくしまるえつこ、大谷能生、吉田隆一らを迎えながらも、
彼自身の個性が浮かび上がる渾身の最新作です!



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大島輝之インタビュー

■ ソロ作品としては前作『into the black』(ewe)から5年が経っています。今回のアルバム制作に至ったきっかけや経緯を教えてください。

今回は、レーベルの方からお話しをいただいてから内容を考えてのリリースですので、お話しをいただくまではもちろん全く白紙の状態でした。前作into the blackからの関連性も特にありません。お話しをいただいた時、何か面白い事が出来ると思い、そこからコンセプトを立ててみました。

コンセプトのようなものが浮かんだのは、お話しを貰って1ヶ月ほどたってからで、最初から曲があってライブなどでも演奏してからレコーディングする普段やっているsimなどのユニットと違い、制作過程で曲のアイデアを具体化していくという事に決定しました。それと、各楽器をバラバラに録音して、人間では可能なようで不可能なグルーブを作るというのもその時に浮かびました。


■ アルバムタイトルについて教えてください。

クラスターポイントは、集合点のような意味で、「集合の中の一つの点」ではあるのですが、逆に、「その一つ一つの点が意思を持って存在しているものの集合」、という意味に捉えてみると、非常にコンセプトに近いのでこのタイトルにしました。


■ 音が刻まれ、曲全体が点描画のような印象を受けました。刻んだ音で別の風景を再構築する面白みは何ですか?

上記の答えに近いものになってしまいますが、一つの点の集合、一つ一つがうご
めいて、違う形にモーフィングしていくようなものを作りたくて、こういう手法になりました。ドラムはまず、キック、次にスネア、次にハイハット・・・とキット別で録って、ドラムセットという扱いではなく一つの音源が基本ループなんだけど実は徐々に違う表情を見せていき、そして気付いたら違うものに変容している、ということが非常に興味深かったです。
他の楽器、声なども同様で、同じようなことを試していくと、全部の楽器の一つ一つが非常にゆっくりと動く動物の様な感覚に陥るかと思います。
手法は、ポリリズムやカノンが多いのですが、そういった言葉ですまされる陳腐なイメージとは違うものが出来たかなと思います。


■ 相対性理論のやくしまるえつこさんなどゲストが参加しています。人選の理由について教えてください。

やくしまるさんは、以前simが相対性理論のイベントに呼んでもらってからのお付き合いですが、彼女の声は非常に顔がない、というか、無表情というか、そこが魅力的で今回のコンセプトにはぴったりだなと思って、参加していただきました。
ボーカリストって、自分の内面を出すタイプと、内面を出さず単にスタイリッシュに歌う2つのパターンがあると思うのですが、彼女の歌や声はそのどちらでもない、非常にクールな側面があって、僕の音楽にも実は上手く溶け込む事の出来る存在だと思いました。


■ ゲストミュージシャンは曲の全体像を知らないままに録音をしたそうですが、これはどうしてでしょうか?

録音をしつつ作曲しているようなものでしたので、単純に前もって演奏家の方々に資料をきちんと渡せなかったというのが理由の一つですが、次に、曲の全体像を知っていると、何故か無意識に演奏家の方が音に表情を加えるという事があるのですが、今回に関しては、それは逆にいらなかった、という事もあります。
点はあくまで点でいて欲しかったので、一つ一つの点に意思はあるのですが、表情という形ではいらないと思いました。


■ 多数の活動名義をお持ちですが、今後の活動について教えてください。

昨年はこのアルバム制作が主な活動だったのですが、今年から2つのグループを新たに作りました。
1つは「弧回」というグループで、僕が歌を歌っています。
もう一つは「plus3」というグループで、非常にストイックかつ暴力的なグループです。

今年はsimのニュー・アルバムも制作する予定です。
弧回も早くもレコーディングする予定です。

各ユニットそれぞれライブ活動もやっております。
一度ぜひおこしください。よろしくおねがいします。

[Interview:樋口亨]


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■タイトル:『The Sounds Fur Klastar Point』
■アーティスト:大島輝之
■発売日:2011年4月6日
■レーベル:AIRPLANE LABEL
■カタログ番号:AP1043
■価格:2,300円(税込)




大島輝之 プロフィール】

東京のインプロ・音響シーンなどで活動するギタリスト/コンポーザー。
初の正式音源作品はfeepの「The great curve」(2003/mao)。その後自らがリーダーを
務めるsimを結成し、2005年に「sim」(WEATHER/HEADZ)をリリース。2009年には大友良英とのコラボレーション作であるsim + otomo「Monte Alto Estate」(doubt music)を発売し話題を集める。ソロ作では「into the black」(EWE)、gnom°名義で「Enigma Variations」(mao)をリリースしている。

林正樹インタビュー ~『林正樹 STEWMAHN / Crossmodal』:インタビュー / INTERVIEW

Salle Gavaeuや菊地成孔とペペ・トルメントアスカラールなど、数多くのミュージシャンから引っ張りだこの人気ピアニスト林正樹。忙しくても、自分のプロジェクト活動はしっかりやっています!2008年リリースの傑作ソロアルバム『Flight for the 21st』。そしてこの度、初のリーダーバンド「林正樹 STEWMAHN」がついにアルバムをリリースします!

なんと10年前に結成されていたこのバンド。林さんのピアノを中心に、サックス、ディジュリドゥーなどあらゆる吹奏楽器を操るオーストラリア出身のアンディ・ベヴァン、ジャズのみならず邦楽界にも精通する打楽器奏者・堀越彰、クラシックからクラブミュージックまで幅広い音楽を網羅するコントラバスの西嶋徹のカルテットです。

バンド名、STEWMAHN(ストゥーマン)の名前の由来は、「シチュー(混合)」と「四柱」、そしてメンバー4人のイニシャルを組み合わせた造語だそう。トリッキーでありながら美しい旋律がそのように感じさせない林さんの楽曲。絶妙のバンドアンサンブル。多彩なトーンが詰まった作品です。


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林正樹インタビュー

■「STEWMAHN」結成から今回の1stアルバム『Crossmodal』発表まで10年の月日が経過しています。バンド結成とアルバム制作のきっかけ、経緯をそれぞれ教えてください。

STEWMAHNを結成する少し前に「Zephyr」という曲を作曲したのですが、この曲は日本人としての自分が音楽で何を表現できるのか、その当時自分の進むべき道を認識させてくれた大切な曲なんです。この「Zephyr」を表現してもらえるメンバーは、アンディ、堀越さん、西嶋さんしかいないとピンと来ました。10年前にこのメンバーの組み合わせを思いついた事は、今でも自分自身感心しています(笑)。
この曲はアレンジをたびたび変えて演奏してきましたが、今回のレコーディングでは今までのアレンジを全て忘れて、約束事なしの即興的アプローチで演奏を行いました。音源に残すタイミングは今だったんだと確信できるテイクが録れました。


■アルバムタイトルについて教えてください。

4人の音楽美意識が重なり合い、すれ違い、そしてSTEWMAHNの音楽が産まれる。そんな気持ちを込めてつけました。


■メンバーそれぞれの演奏に対する印象を教えてください。

今回は全て僕が作った楽曲を収録していますが、メンバー全員が楽曲を大切に考えて演奏してくれているのを実感しています。曲に込めた世界観は崩さず、だけど最大限に広げてくれる。
アンディは僕のわがままを聞いてくれて、とてもサックス、フルート、ディジュリドゥーなどなどたくさんの楽器を持ち替えて演奏してもらっているし、ベースの西嶋さんにはバイオリンも弾いてもらっています。僕が考えるトリッキーなリズムパターンも見事に昇華してしまう堀越さん。独自の美しい音色をもった素晴らしい演奏家たちです。


■このバンドのために作った楽曲はありますか?その場合、どのようなことを考えて作りましたか?

はい、あります。STEWMAHNの場合は、アンディが持ち替える特殊な楽器をイメージして作曲する場合が多いです。例えばアンディが持っているハーモニックフルートと呼ばれる創作楽器、これはCの倍音列をコントロールして演奏される楽器なのですが、この楽器をうまく利用するために考えて作った「STEWMAHN」。バンドのテーマソングみたいになっています。オーストラリアのアボリジニの楽器、ディジュリドゥー、この楽器をイメージして作った曲「ROBOTMAHN」などがあります。
そういえばアンディは日本で活動する唯一のオーストラリア出身ディジュリドゥー奏者なんですよ。


■今一番気に入っているピアニストとその理由を教えてください。

僕の中の3大ピアニスト、Bobo Stenson, Keith Jarrett, Egbert Gismonti この3人は不動ですが、最近はブラジルのAndre Mehmari もよく聞きます。マルチインストゥルメンタルプレイヤーでもあり、僕と違って音楽の素養がもの凄い高い。ジスモンチからブラジルの土着性を薄めた感じというと聞こえは悪いかもしれませんが、作曲センスを含めとても好きです。同世代なので特に刺激を受けますね。4月に来日するみたいです。


■「STEWMAHN」をはじめ、今後の活動について教えてください。

まずは3月4日南青山マンダラでのCD発売記念ライブを皮切りに、水戸、静岡、名古屋、京都、大阪、敦賀へのツアーも行います。
STEWMAHN以外だと、年内にソロピアノ2作目のレコーディングが出来ればいいなと思っています。ソロのレパートリーも増えて来ました。
後はたびたび共演させてもらってるピアニスト田中信正さんとの活動(JJazz.Net「Jazz Today」で3/9よりご紹介!)も形に残せたらいいなと思っています。応援よろしくお願いします!

[Interview:樋口亨]


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『Crossmodal』予告 ムービー



のびやかで、おおらかで、繊細で、そして強靱。
林正樹のつくりだす音楽には、朝の日差しをいっぱいに浴びた大草原がよく似合う。
村井康司(音楽評論家)



■タイトル:『Crossmodal』
■アーティスト:林正樹 STEWMAHN
■発売日:2011年3月14日(月)
■レーベル:エアプレーンレーベル
■カタログ番号:APX1006
■価格:2,500円(税込)


林正樹 プロフィール】

1978年12月東京生まれ。
5才よりピアノを始め、中学入学後ポピュラー音楽に目覚め、独学で音楽理論の勉強を始める。
その後、佐藤允彦、大徳俊幸、国府弘子らに師事し、ピアノ、作曲、編曲などを学ぶ。
97年12月に、民謡歌手の伊藤多喜雄のバンドで南米ツアー、国内ツアーに参加し、プロ活動を始める。
現在は自作曲を中心に演奏するソロピアノでの活動や、自己のカルテット「STEWMAHN」、さがゆきとの「KOKOPELLI」の他に「West/Rock/Woods」「Salle Gaveau」「菊地成孔&ペペ・トルメントアスカラール」「クアトロシエントス」ピアノトリオ「宴」「エリック宮城 EM Band」「SPICK & SPIN」「Archaic」など多数のバンドに在籍中。
サーカス、長谷川きよし、古澤巌、小松亮太、中西俊博、伊藤君子、ROLLY、川井郁子、中川英二郎をはじめ、多方面のアーティストと共演。
最近では韓国人のチェリスト、ソン・ヨンフンと「クアトロシエンス」との韓国、香港でのコンサートや、「Salle Gaveau」のヨーロッパツアーなど活動の場所を国外にも広げている。
リーダー及び参加アルバムも多数あり、自己のユニットで聴かれるその作曲、編曲能力はジャンルを超え各界で高く評価されている。
2008年4月にオリジナル曲を集めた初のピアノソロアルバム『Flight for the 21st』を発売。
2009年NHK「ドキュメント20min」のテーマ音楽を担当。
2011年3月に「林正樹STEWMAHN」の1stアルバム『Crossmodal』をリリース。


CD発売記念ライブツアー

3月4日(金) 南青山MANDALA 03-5474-0411
開場18時30分 開演19時30分 3,800円(1ドリンク付)

3月6日(日) 水戸 自由が丘スタヂオ 029-221-5538
開場18時30分 開演19時30分 3,000円

3月31日(木) 静岡 Lifetime 054-250-0131
開場18時30分 開演19時30分 前売3,000円(1ドリンク付) 当日3,500円

4月1日(金) 名古屋Jazz inn LOVELY 052-951-6085
開場18時00分 開演19時30分 4,000円

4月2日(土) 大阪 浄願寺(大阪市旭区今市) 06-6951-2598
開場17時30分 開演18時00分

4月3日(日) 京都RAG 075-241-0446
開場18時00分 開演19時00分 前売3,500円 当日4,000円

4月4日(月) 福井県敦賀 cafe キトテノワ 0770-21-0220
開場18時30分 開演19時00分 3,000円

5月8日(日) 柏 Studio wuu 04-7164-9651
開場18時00分 開演19時00分 前売/予約3,000円 当日3,500円
4月4日(月) 福井県敦賀 cafe キトテノワ 0770-21-0220
開場18時30分 開演19時00分 3,000円

JUZU a.k.a.MOOCHYインタビュー ~『Tam ~Message to The Sun~』:インタビュー / INTERVIEW

日本初の新たなワールドミュージックとして話題の作品『Re:Momentos "Movements"』を発表し、JJazz.Netでもインタビューをお送りしたDJ・プロデューサーのJUZU aka MOOCHY。
そのアルバムから間髪入れず、今度はCDと絵本がセットになった作品『Tam~Message to The Sun~ タム お日様への伝言』を発表しました!
京都のバンド、SOFTの演奏とトリニダード・トバゴで録ったスティールパンの演奏を融合し、優しく生命力あふれるサウンドを創り上げています。
キセル、DRY&HEAVY、PUSHIMなどのCDジャケットの他に、Tシャツデザイン、本の装丁、雑誌の表紙などを手がける内田松里による有機的な絵が魅力的な絵本が、さらに作品の世界観を強めています。

サウンドとヴィジュアルの両面で、聞き手・読み手の感性を刺激する作品をプロデュースしたJUZU aka MOOCHYのメールインタビューです。



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JUZU a.k.a.MOOCHYインタビュー

■絵本と音楽が一緒になった作品ですが、制作するようになったきっかけ、経緯を教えてください。

以前から一緒に制作をやっている内田直之の奥さんであるマツリさんとは彼の自宅での作業中に仲良くなり、彼女の絵本に対する情熱が、自分のやりたい事とうまくリンクしたのが発端です。


■ずばり、コンセプトは?

メッセージ。


■音楽では、今回はスティールパンをフィーチャーしていますが、その理由は?

京都のバンドSoftにスティールパンが合うというDJ的な直感からです。


■「子供」という存在に対する思いを教えてください。

未来。無条件の愛。


■このプロジェクトの今後の活動について教えてください。

このプロジェクトはトリニダードからスティールパンのプレイヤーを日本に招聘出来れば嬉しくお思います。
あと出版物として世界中の図書館に置いてもらえたら最高です。

[Interview:樋口亨]


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タムの心とあなたの心ソフトなパンでひとつになる(コメント from UA)


■タイトル:『Tam ~Message to The Sun~ タム お日様への伝言』
■アーティスト:SOFT meets PAN
■発売日:2010年12月22日
■レーベル:CROSSPOINT
■カタログ番号:KOKO-014
■価格:2,625円(税込)




JUZU a.k.a.MOOCHY プロフィール】

東京出身ながら現在は福岡在住。10代からバンドとDJ両方の音楽活動を並行して始め、スケートボードで知り合ったメンバーで結成されたバンド EvilPowersMe の楽曲はUSAパスヘッドのレーベルからもリリースされる。DJとしては90年代中期、今や伝説化したパーティーRhythm Freaksのオーガナイズ及びレジデントDJとして一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動を展開する。 また、オリジナル音源やボアダムス等のリミックスがメジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。一方、その楽曲や存在そのものが様々な形で国内外に影響を与えた不定型バンドNXSのリーダーとしても活動を展開。その影響から発した電子音楽、インプロビゼーション、民族音楽、そしてあらゆるダンスミュージックを内包したソロ作品群は、日本各地に点在する志高きミュージシャン達のみならず、キューバ、ハワイ、ベトナム、ジャマイカ等世界各地のミュージシャン達とも録音され、新たなWorld Musicの指針となっている。


【はらまつり(旧名はらまさこ)プロフィール】

兵庫県出身。嵯峨美術短期大学(現 京都嵯峨芸術大学ビジュアルデザイン科卒業。キセル、DRY&HEAVY、PUSHIM、ゆるゆるギターズなど数々のCDジャケット、Tシャツのデザイン、本の装幀、オリジナルポストカードの制作、雑誌の表紙などを手掛ける。二児の母でもある。現在神奈川県藤野在住。2000年東京『ギャラリー無寸草』、大阪『WHO'S WHOギャラリー』2004年神戸『 N a f sh a 』にて個展。


SOFT プロフィール】

京都が世界に誇るスペース・ジャム・バンド。野外でのライブや、各地でのDIYなパーティー、クラブ、時には大きなフェスで、10年以上に渡りわたりパーティーピープルと特別な時間を共有してきたシーンのパイオニア。太古の記憶を呼び起こすマジカルな宇宙感覚に、ポリリズミックなアフロビートやファンク的 なダイナミズムを併せ持つ唯一無二のサウンド! これまでに6枚のオリジナル・アルバムと、1枚のリミックス・アルバム、アメリカ・ツアーでのライブを収録した「Live at Westcott House Garden」をリリース。新しいメンバーが加わって録音された2009年リリースのアルバム「The Whole World Is Sacred Sound Music Touches You」は、彼らの新しいスタンダード。2010年7月7日にはベスト・ライブ盤「Live Touches You」をリリース、更にはJUZU a.k.a. MOOCHYとのコラヴォレーションリリースも予定!!


【Earl Brooksプロフィール】

今回のアルバム5曲中4曲に参加した重要なパン奏者。美しいパンの響きが波のささやきのように、心にやさしく入ってくる。彼のパンは世界中のヒット曲からも聴こえてくる。Brooklynでもこの日本でも。日本での演奏も多数、USはもちろんヨーロッパでの公演も多数。現地トリニダードでも素晴らしいパンマンとして常に尊敬されているミュージシャン。


【Ken "Professor" Philmoreプロフィール】

アレンジで参加。パンに生きてパンに死ぬ人。ラスタカラーのパンスティックと少女漫画のようなキラキラした瞳からは魂のピュアが熱いくらいに伝わってくる。Duke Ellington Orch.との世界ツアー等、ジャズとの競演でも世界レベルのパンマン。過去に何回もトリニダードでの大会で優勝させたアレンジャーであり、ベストTenorパン奏者のひとり。


イベント情報 - "MOVEMENTS" @ eleven

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<日時>
2011年1月28日(金)
OPEN & START:22:00

<会場>
eleven

<出演>
DANCE FLOOR

LIVE:
JAKAM & THE SPECIAL FORCES
SOFT from Kyoto
KUNIYUKI from Sapporo

DJ :
BING a.k.a. トシオカジワラ
CHIDA
TSUYOSHI KOSUGA from Cro-magnon
JUZU a.k.a. MOOCHY


LOUNGE FLOOR

LIVE ::
TCHIKY'S
KENJI IKEGAMI
MONO SAFARI from Fukuoka

DJ ::
NU-DOH from Okinawa
Q a.k.a. INSIDEMAN
OISHI HAJIME
DAI
CHOCKEE from Hiroshima
ATTAME from Mie

LIVE PAINT :
SYUNO VEN from Aizu / Sendai
WITNESS from Fukuoka
彫鼬(AURA TATTOO)

FOOD :
MANGOSTEEN
PARADISE ALLEY from Kamakura

<料金>
3,000円 (1D)
2,500円 (1D) w/Flyer

濱瀬元彦インタビュー ~『The End of Legal Fiction Live at JZ Brat』:インタビュー / INTERVIEW

自身の著作「ブルーノートと調性」や菊地成孔の著作「東京大学のアルバート・アイラー」「M/D」などにおける圧倒的な理論構築力によって名を知らしめたベーシスト濱瀬元彦。作曲/演奏家/バンドリーダーとして20年振りに最新作『The End of Legal Fiction" Live at JZ BRAT』(プロデュース、濱瀬元彦&菊地成孔)を発表しました。
100%手弾きによる驚異のテクノ・ジャズは如何に生まれたか!?



濱瀬元彦


濱瀬元彦インタビュー

■新作のタイトルやバンド名にも使われている「The End of Legal Fiction」について教えてください。。

 高校生の頃(40年以上前!)読んで衝撃をうけた『擬制の終焉』(吉本隆明)と言う本のタイトルを英語に直訳したものです。


■最も影響を受けたミュージシャンをあげるとするとどなたですか?その理由も教えてください。

 この質問には答えにくいですね。まず、現在私がやっている音楽が特定の「影響を与えたミュージシャン」によってくくられることを私は拒否します。以前、『ブルー・ノートと調性』という本を書いたときに、読者にどこでこうゆうことを学んだのか、元になる本はあるのか、と尋ねられたことがあります。もちろん、『ブルー・ノートと調性』で展開した理論のネタになるような本や理論などはなくて既存の理論の検討、批判をもとに私が新しく打ちたてのですが、そうしたことを日本人が行うということがあり得る、ということが読者の想定(想像力)のなかになくて、そうした質問になったと思います。「影響を受けたミュージシャン」は誰か、という質問は私の本に対して行われたこの質問と位相が似ている気がします。
 さらに言えば、他者の表現からの直接的な影響が作品に現れることを表現者は絶対に避けなければなりません。なぜならば、直接的あるいは未消化な影響(差異の消去=模倣)は作品に致命的なダメージを与えるからです。私の音楽について言えば、ソロ活動に転じてからすでに30年近く自分の作品だけをやっており、当初からほぼ現在のスタイルでやってきています。
 影響というのではなく敬愛する音楽家、ということならいうことができます。現存する二人の巨匠、ジョアン・ジルベルトとジョン・ハッセルです。


■人力とは思えないような演奏ですが、「生」演奏にこだわる理由を教えてください。「打ち込み」音楽は普段聴かれますか?

 私はジャズ畑の出身ではあるのですが、80年代から90年代にかけて出した5枚のソロ・アルバムはすべていわゆる「打ち込み」を使ってます。詩や小説は大抵は、一人の作家が作りますが、通常、音楽の現場は複数の演奏家によって作られますね。そこで録音作品を作るに際して詩や小説のような一人称性を音楽作品において可能にする手段として私はコンピュータ(「打ち込み」)を使ってきました。しかし、コンピュータを使うことによるひとつの欠点は、ライブがやりにくくなる、ということです。ライブは「人力」の方がいいんですが、私の音楽を演奏できるプレーヤーは非常に限られていて人材の確保が思うようにならなかったというのが私の長いブランクの最大の理由です。E.L.Fのメンバーは私の要求を実現できるだけでなく、はるかにそれ以上の展開可能性を持ったプレーヤーの集まりです。これだけのレベルのメンバーが揃うのに15年が必要だったんだな、と今では思います。
 「生」演奏はやるたびに違いますし、驚くべきことに、E.L.Fの演奏は毎回、必ず前回よりも良くなっていってます。これはコンピュータ(「打ち込み」)では絶対に得られない点ですね。このすばらしいメンバーで、通常、生演奏では不可能なような演奏をするということは、演奏家として何よりも痛快で、これが「生」演奏にこだわる理由です。
 それと、人のやった「打ち込み」音楽を聴くか? ということですが、聴きます。Jair Oliveiraの「打ち込み」音楽はいいですよ。


■今後の活動について教えてください。

2010年12月3日 20:00~ 
CD発売記念 濱瀬元彦 × 菊地成孔 トーク&サインイベント開催 
タワーレコード渋谷店 5F

2010年12月6日 19:00~ 
『The End of Legal Fiction Live at JZ Brat』発売記念ライブ 
濱瀬元彦 ELF with 菊地成孔 
EATS and MEETS Cay  (青山 Spiral B1)

2011年1月13日 19:00~ 
濱瀬元彦 ELF with 菊地成孔 ライブ 
JZ Brat (渋谷セルリアンタワー東急ホテル2F)


今後のレコーディングですが、今、新作を出したばかりで未定です。

[Interview:樋口亨]


The End of Legal Fiction Live at JZ Brat


■タイトル:『The End of Legal Fiction Live at JZ Brat
■アーティスト:濱瀬元彦 E.L.F Ensemble & 菊地成孔
■発売日:2010年11月25日
■レーベル:AIRPLANE LABEL
■カタログ番号:AP-1041
■価格:2,625円(税込)




濱瀬元彦 プロフィール】

1952年4月15日愛知県生まれ.慶応義塾大学中退.1976年よりアコースティックおよびエレクトリック・ベース奏者として土岐英史、鈴木勲、益田幹夫、秋山一将、清水靖晃、ジョージ大塚らのジャズ・グループで活躍.多数の録音参加作品を残す。演奏家としてはフレットレス・ベースの新しいスタイルを確立した。1982年に実験的音楽ユニット「ラーゲル」を結成し1985年まで音楽の新しいフォーマットを摸索し続けた.その後、ソロ活動を開始し、5つのソロアルバムを発表している。音楽理論の面でも『ベースライン・ブック』(1987)でベースラインに関する理論を確立し、『ブルー・ノートと調性』(1992)でブルー・ノート発生に関する理論を確定することにより即興演奏、作曲のための全く新しい調性理論を提出するなどの業績がある。


濱瀬元彦 E.L.F Ensemble 】

菊地成孔をゲストに迎えた「濱瀬元彦 E.L.F Ensemble」は、濱瀬元彦の音楽を精緻に実現するために'08年に結成された。従来、生演奏では演奏不可能であったサウンドを同期、シーケンサー等を一切使わずに演奏するだけでなく、濱瀬のインプロヴィゼイションと組合わさる事により音楽の未踏の領域をライブ空間で実現する。

CALMインタビュー ~『CALM』:インタビュー / INTERVIEW

日本でクラブミュージックが盛り上がり始めた90年代後半、いち早くクリエイターとして海外のシーンから注目を集めた日本人アーティストCALM。新作『CALM』は、見ての通り6枚目にして初めて自らのアーティスト名をアルバムタイトルとしています。様々な名義で幅広いサウンドをリリースしながらも、根底にはっきりと感じ取れる彼独自の強烈な「音楽への愛」が多くのリスナーを魅了し続けている、注目のアーティストのインタビューです。



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CALM インタビュー

■ほぼ毎年リリースしているアルバムの6枚目にして、タイトルに自身のアーティスト名をつけたことなど、今回のアルバムに込めた思いなどについて教えてください。

このアルバムを出すまでに本当に色んなことがありました。
音楽シーンの変化はここ数年でかつてないほどとても大きなものだったかもしれません。
そんな中、プライベートなことも含めですが、もう一度自分自身に向かい合ってみようと思い今回のアルバムに取りかかりました。
ファーストアルバム以来となる、生楽器やゲストミュージシャン無しで、自分独りで作り、ミックスし完成させたアルバム。
そこで色々悩んだ結果『Calm』というセルフタイトルのアルバム名になりました。
毎回そうですが、今回はいつも以上に自分のエゴというか自分のエッセンスのみで作りあげ、少しプライベートになりますが、亡き祖母に捧げたアルバムになります。


■DJではなくプロダクションで、クラブミュージックにジャズを持ち込んだ日本でのパイオニア、そして日本のクラブジャズが海外から注目される突破口をあけた存在だと思います。自身が考える「ジャズ」とは?また、当時と現在で違いを感じますか?

自分のことをクラブ系ジャズだとは思っていません。ただのジャズ好きで、他の音楽と同様に素晴らしい音楽を吸収してそれを吐き出しているだけです。
それがたまたま海外の人達の耳に引っかかって、それが逆輸入してきたのかもしれません。
悲しいかないつまでたっても日本の欧米至上主義というのは変わってないのかもしれません。
その後日本の良質な音楽達が日本国内でも広がっていったのですが、残念ながら今その勢いは見受けられません。
ただ逆を言えば、自分がデビューしたときと同じような状況なのかもしれないので、時代は廻るという見方でいけば、この先また楽しい時代が来るかもしれません。
音楽には希望というものも含まれているし、それに感動がプラスされれば人の人生すら180度変えることが出来るパワーがあるはずなので、今の音楽不況でさえもなんとかなるのではないでしょう。
商業的ではなくそれぐらい本当のパワーを持った音楽がもっと世に出てくればいいですね。


■デビューから13年。「続ける」ということについてご意見を聞かせてください。

継続は力なり。色んなことをやりながらも時代にフィットしながらも自分というものは芯にきちんとある。
スタイルを時代に合わせたり、売れるよう音に変化させることは誰だってできるけれども、そこに本当の自分というものがなければもう戻って来ることはできないし、自分じゃないことをやり続けることは、最終的には自分で自分にジ・エンドを突きつけることとなるはず。
Calmという音楽を、ときにOrganLanguageだったり、K.F.だったり、Japanese Synchro Systemと、変名や別プロジェクトにきちんと落とし込んで活動し、ブレなく活動してきたからこそ今というのがあるんだと思う。
セールスだけを求めたり、自分のエゴのみで動いていたらきっとこうはいかなかっただろう。
この先のことは全くわからないけど、出来れば死ぬまで音楽をやり続けたい。


■作品をはじめパーティーのサウンドシステムでも音質にこだわった活動をされ
ています。その理由は?

音楽にはメロディーやコード、リズム、そして歌詞などがあるけれども、そこにその音楽に合った音質が加われば、ただのBGMや娯楽でしかなかったものが素晴らしき感動へと変わっていくはず。
クリアーな音が良いという訳ではないけれども、例えばDJをやるときには、色んなアーティストとの曲をかけるわけだし、そのアーティストは伝えたい音楽と音質でそのレコードなりCDなりに落とし込んでいるので、出来る限りその音質に忠実にプレイしたいと思って、自分のパーティーでは出来る限りの良質な機材を持ち込んでベストに近い音質でプレイ出来るよう頑張っています。
自分の作品でも同じことで、自分の音楽が一番伝わりやすい音質というものになるべく近づけるよう、こだわりを持ってやっています。
先きほどにも述べた通り、音楽には感動が潜んでいます。
その感動を受け取りやすくする努力は出来る限りしているということで、その先ユーザーがどう取るのかはユーザー自身の問題でもあり自由でもあります。


■今後の活動について教えてください。

ライブは現在ツアー中で、10/30(土)に渋谷Plugにてワンマンライブをやり、年内はひとまずそれで終了です。
(詳しくはコチラをチェック)
ライブはCDとは全く違う次元のことをやっています。
自分のPCの音に、キーボード、サックス、ベースがそのときそのとき、まさにその一瞬しか出来ない再現不可能な世界を作り出します。
決め事がほとんどないライブなので、毎回違った雰囲気になります。
そういう意味では制作、ライブ、DJ、それぞれ一聴すると違う感じかもしれませんが、それを全て含めてCalmという存在になるのかもしれません。

制作面では、今半分くらいできているのですが、ノンビートのアルバムを作っています。
ノンビートと言っても、チルアウトやアンビエント的な括りではなく、ビートによる高揚感を排除した楽曲が並んだアルバムだと思ってください。
例えば今回リリースした『Calm』というアルバムの中の「River is Deep」や「Stories」は実際はもっと長い曲なのですが、アルバム用に短くエディットされています。
そんな内側にはめる感じのアルバムを、出来れば出来上がったらすぐに自主流通で販売したいと考えてます。(恐らく年明け早々には)

ライブツアーをやっているバンドでのアルバムも作りたいと思ってますが、なにせメンバーがとても忙しい人達なのでそれは来年できるかどうか。
でもとにかくライブが乗りに乗っているので、ライブ盤ではなく、きちんとしたスタジオ録音の新曲でチャレンジしたいです。

更にサックスの加藤君 (加藤雄一郎) とのスローテンポのウォーキングリズムを主体としたユニット、field.echoというのも来年にはリリースしたいです。
こちらはもう既に楽曲が8曲ほどできているので、加藤君の矢沢永吉さんとのツアーが終わった冬ぐらいから少しずつ完成させていきたいです。

そして来年にはCalmとしての新たなチャレンジのアルバムも作りたいです。
アナログオンリーのダンスミュージックも構想にあります。
リクエストが多いOrganLanguageの続編も少しですが考えてます。

色々と構想がありますが、あとは時間との戦いになってきますね。

DJはコンスタントにやっています。特に自分のパーティーはオープンラストで一人でセレクトしています。
詳しくはウェブ の方を覗いてみてください。

[Interview:樋口亨]


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■タイトル:『CALM
■アーティスト:CALM
■発売日:2010年9月15日
■レーベル:MUSIC CONCEPTION
■カタログ番号:MUCOCD-022
■価格:2,835円(税込)




CALM プロフィール】

ジャンルにとらわれず、全ての良質な音楽を軸として唯一無二の音を放つサウンドクリエーター。
あえてカテゴリーにあてはめて表現するならば、チルアウト、バレアリック、アンビエント、ジャズから、ブラックミュージック、ダンスミュージックに至るまでの要素を絶妙に調合し、自らのエッセンスでまとめあげて世界に発信している。

97年のデビュー以来、Calm、Organlanguage、K.F.、THA BLUE HERB / BOSSとのユニットJapanese Synchro Systemなど、様々な名義を使い分けて幅広い楽曲を生み出し、現在に至るまで実にほぼ毎年フルアルバムなどをリリース。勢力的な活動を続けている。

代表曲には、"Light Years"、"Shining of Life"、EGO-WRAPPIN' 中納良恵をVoに迎えた"Sunday Sun"などがある。

またDJとしてのキャリアも重ね、ダンスフロアに笑顔を育むをテーマに活動。
つくり出す楽曲同様あらゆる良質な音楽から貪欲に選曲し、解放している。
2つのレギュラーパーティー、Bound for Everywhereと Monday Moonを中心に各地へ。
可能であれば出来る限りの機材を持ち込んでの音づくりをし、心に届く音でのプレイを信条としている。

JUZU a.k.a.MOOCHYインタビュー ~『Re:Momentos "Movements"』:インタビュー / INTERVIEW

国内外でセッションを繰り返すことで、音楽を通して世界とコミュニケーションし理解を深めているDJ・プロデューサーのJUZU aka MOOCHY。8月に発表し話題を呼んでいる新作『Re:Momentos "Movements"』は、ベトナム、ハワイ、ジャマイカ、キューバ、奄美大島、福岡、東京など自らが旅をした先々での音の断片を紡ぎ上げた2枚組の力作です。
実体験に裏打ちされた生命力あふれる、まさに新たなワールドミュージックが鳴っています。
大友良英、Shing02、ジェフテ・ギオムなど多彩なゲストも参加。
ユニークな活動を続ける注目のアーティストのインタビューです。



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JUZU a.k.a.MOOCHYインタビュー

■今回発表したアルバム『Re:Momentos "Movements"』は、シリーズの第三部ですが、アルバムタイトルについて教えてください。

前作Momoriesと対になる作品として今作Movementsはとらえています。
前作が映画を彷彿とするストーリーを重視した作品だと思っていますが、今作はドキュメント作品的な受け手の解釈に委ねるというイメージを持っています。
今の現状とこれからの未来に対して少しビターな解釈としてイメージ、メッセージを込めました。


■旅を通じて得たサウンドを紡いで仕上がったアルバムですが、旅に出る理由は何ですか?また、自分にとって「旅」とは何ですか?

旅は僕の中では決して目的ではなく、あくまで音、音楽を求めて動いた上で、それが旅になっていただけです。人生そのものが旅でもあると思うので逆に言えば旅は人生とも言えるのでしょう。


■音楽を通じて様々な国やそこに住む人々とコミュニケーションされていますが、アルバムを作り終えて「世界」はどのように見えていますか?

すべての人に同じ人格は無く、すべてOne And Onlyだと思います(You are the only oneという曲もあります)。
また反対にどこに住んでいても衣食住など生活の軸はさして変わらない部分、何処に住んでいても変わらないとも思います。銀河系レベルでも分子レベルでも世界は一つなのでしょう。


■自分の中で一番強く輝いている「希望」を教えてください。

個人的にも種族的にも、世界的にも『進化』、が希望する事です。
退化ではなく。。。


■今後の活動について教えてください。

年末12/22に京都の老舗バンドSoftの音源を録音して、それを中南米の島トリニダードトバコに持って行き、それにスティールパンの奏者が音を加え、さらにホーンセクション等を加えた、ある意味、映画音楽的作品を子供用の絵本とともにリリースします。

約8年近く住んだ福岡から地元である東京に年末から拠点を再び移し、ライブやレコーディングも精力的に進めて行くつもりです。

[Interview:樋口亨]


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■タイトル:『Juzu Presents Re:Momentos "Movements"』
■アーティスト:JUZU a.k.a.MOOCHY
■発売日:2010年8月15日
■レーベル:cross point / PROCEPTION
■カタログ番号:KOKO-013
■価格:2,625円(税込)




JUZU a.k.a.MOOCHY プロフィール】

東京出身ながら現在は福岡在住。10代からバンドとDJ両方の音楽活動を並行して始め、スケートボードで知り合ったメンバーで結成されたバンド EvilPowersMe の楽曲はUSAパスヘッドのレーベルからもリリースされる。DJとしては90年代中期、今や伝説化したパーティーRhythm Freaksのオーガナイズ及びレジデントDJとして一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動を展開する。 また、オリジナル音源やボアダムス等のリミックスがメジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。一方、その楽曲や存在そのものが様々な形で国内外に影響を与えた不定型バンドNXSのリーダーとしても活動を展開。その影響から発した電子音楽、インプロビゼーション、民族音楽、そしてあらゆるダンスミュージックを内包したソロ作品群は、日本各地に点在する志高きミュージシャン達のみならず、キューバ、ハワイ、ベトナム、ジャマイカ等世界各地のミュージシャン達とも録音され、新たなWorld Musicの指針となっている。

坪口昌恭インタビュー ~『Abyssinian...Solo Piano』~:インタビュー / INTERVIEW

10月16日土曜日に、自身初となるソロピアノアルバム『Abyssinian...Solo Piano』を発表する坪口昌恭さんのインタビューをお届けします。
ジャズとエレクトロニクスの両方を絶妙のバランス感覚で取り入れている坪口昌恭さん。演奏者としてピアノに向き合うようになっている近年の経過報告といえる今回のアルバムでは、オリジナル曲はもちろんのことスタンダードからクラシックまで取り上げ、当たり前ですが響きも含めて「ピアノ」がタップリ聴ける内容です。

発売記念ライブも決定しています。詳細はインタビューに続いて。

では、メールインタビューを御覧ください。


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坪口昌恭 インタビュー

■新作『アビシニアン』は初のソロピアノ。坪口さんといえばエレクトロニクスの印象が強いですが、今回のようにピアノにじっくりと向きあうようになったきっかけは何かあるのでしょうか?

アコースティック・ピアノはなんと言ってもMost Favorite Instrumentなんですよ。2000年代は『東京ザヴィヌルバッハ』や『DCPRG』でエレクトロニクス系の音楽に没頭する一方で、『坪口昌恭TRIO』や菊地成孔の一連のプロジェクトでピアノ主体に演奏してきましたし、ビバップの伝道師バリー・ハリスさんと交流を持ち、伝統的なジャズ・スタイルも追求してきたのです。ただ近年、DUOや小編成のアコースティック・セッションを増やし、自分のピアノに説得力が増してきたという感触はあります。具体的には、映画音楽の「Last Tango In Paris」をレパートリーに取り入れ、自分の中のラテン魂に火がついたことが大きいです。ラテンというジャンルをやりたくなったとかそういうことではなく、普遍的な楽器であるピアノで人々に自分の音楽を伝えるんだ、という根本意識の問題でしょうね。


■ピアノという楽器の魅力を教えてください。

木と金属でできていて重力を感じるところ。それと、音楽の基本衝動であろう「歌って、叩いて、踊る」という行為から一見遠いところにある楽器でありながら、すべての要素を表現できること。


■クラシックピアノのレッスンを改めて受け始めたと伺っています。何か発見はありますか?

ピアノは元々「ピアノフォルテ」という名称だったように、弱音(ピアノ)から強い音(フォルテ)まで表現できる楽器。頭ではわかっていながら、今まではメゾ・フォルテ以上でしか演奏していなかったような気がします。本来の「ピアノ」のタッチや表現が、以前よりはできるようになってきました。まだまだですが・・・。


■クラシックピアノのレッスンを受ける一方、尚美学園大学 / 同大学院で教えてらっしゃいますが、「学ぶ」ということについてご意見を聞かせてください。

音楽や芸術は、本来教えてもらうのではなく、本当にやりたいのならば自分で見つけていくべきものだと思います。ただ、楽器の奏法上の基礎、ジャズ/ビバップのセオリーなどはやはり一度は正しく学ぶべきでしょう。必ずしも早い時期にとは言いません。習いたくなった時がチャンス。30歳、40歳を過ぎて初めて知ることで、かえって深く心にしみるという場合もあります。
僕は教える立場にはいますが、少し先回りしてお膳立てをしているだけで、学生から実に多くのことを学びます。学ぶというのは学生時代だけの話ではありませんね。一生学び続けるものでしょう。もはや音楽だけの話ではありませんが。


■今後の活動について教えてください。

レコ発に伴って年内、都内で何カ所かソロピアノをやります。『東京ザヴィヌルバッハ』では12月2日に青山「月見ル君想フ」にてソロ・パフォーマンスをします。またギターを交えた『坪口昌恭Quartet』で、来年は国内ツアーがしたいですね。JJazz.Netさんにも応援して配信していただいている(10月13日から)『坪口昌恭&渥美幸裕』での活動も、来年に向けてスケールアップしていきたいです。再始動した『DCPRG』もありますし、相変わらず色とりどりの活動を展開していきますよ!


2010年10月1日
坪口昌恭

[Interview:樋口亨]


坪口昌恭『Abyssinian...Solo Piano』発売記念ライブ

<日時>
2010年10月12日(火)
開場 18:30 開演 19:30

<会場>
代官山 晴れたら空に豆まいて

<出演>
坪口昌恭 solo
・坪口昌恭 Quartet [坪口昌恭 - Piano, Effect、宮嶋洋輔 - Guitar、永見寿久 - ac. & el.Bass、安藤正則 - Drums]
thirdiq [渥美幸裕 - Gt、菱山正太 - Key、小森耕造 - Drums} 

<料金>
前売り 3,000円 当日 3,500円 +1D 500円


abyssiniancd.jpg


■タイトル:『Abyssinian...Solo Piano』
■アーティスト:坪口昌恭
■発売日:2010年10月16日(土)
■レーベル:エアプレーンレーベル
■カタログ番号:APX1005
■価格:2,350円(税込)

■収録曲
1. Logos by 坪口昌恭
2. Tune Up by Miles Davis
3. The Peacocks by Jimmy Rowles
4. Evidence by Thelonious Monk
5. Afro Poly Etude by 坪口昌恭
6. Abyssinian by 坪口昌恭
7. New Doll by Peter Ilych Tcaikovsky
8. Last Tango In Paris  by Gato Barbieri
9. Castalia by 坂本龍一



坪口昌恭 プロフィール】

1964年12月3日福井県生まれ、大阪育ち。5歳より両親(音楽教師)にピアノの手ほどきを受ける。
多重力的エレクトロ・ジャズユニット『東京ザヴィヌルバッハ』(1999~)を主宰し、ewe Inc.他より7枚のアルバムを発表。
キューバ系ジャズ・ミュージシャンたちと2004年夏ニューヨークにて録音したソロ・アルバムを2枚発表。
アコースティック主体の『坪口昌恭TRIO』(2001~2008)では、エフェクティブな手法やポリ・スイングを実践し、リミックス・アルバム「Radio-Acoustique」(Flyrec)リリース。
'90年代はジャズロックバンド『坪口昌恭PROJECT』(1989~1998)を率いて活動し、2枚のアルバムを発表。菊地成孔(Sax)との共演歴は20年を越え、『DCPRG』(1999~2007)をはじめ、近年は『菊地成孔Dub Sextet』『菊地成孔Quintet Live Dub』『UA×菊地成孔』のピアニストとして活躍中。 2008年9月に、20代前半の若手を集め『坪口昌恭Quartet』の活動開始。よりメインストリームなサウンド指向で原点回帰しつつ新境地を目指す。 2009年より、Piano Soloや小 編成でのセッションが活性化。ジャズ・ピアニストとしての多彩な魅力をアピール。キーボードマガジンをはじめとする音楽誌への執筆多数。
先鋭的な音楽活動の一方で、Barry Harris(Pf)直伝によるBe-Bopセオリーを受け継ぎ、尚美学園大学/同大学院にて後進の指導にあたっている。


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